昔どこかのサイトを閲覧しているときに、「日本は緩慢な死へ向かっている」というような記事を見た記憶がある。内容は、「日本はデフレが長期間進行しているので日本円は長期的には暴落している」というような内容だったと記憶している。基本的にその意見に賛同しているので、その根拠となるデータを示すこととする。
通常のTVや新聞等のニュースで為替変動が報道されるが、常に円/ドルレートあるいは円/ユーロレートである。そして円/ドルレートは変動はあるもののある幅の中に納まっているので、円の通貨としての価値は30年前と大きく変わっていない、と思っている方が多いのではないかと思う。
下の図はfxtop.comより作成した1990年~2020年8月のドル/円レートである。縦軸はドル/円であり、下に行くほど円高となる。
この図を見ると、日本円はこの30年で多少円高方向に向かっている、という見方になる。この見方は本当に正しいのだろうか?
上記は円/ドルレートであるが、一方で「実効実質為替レート」という指標がある。これは1つの通貨だけでなく日本が取引している色々な国との為替レートをその取引量に応じてちゃんと計算してやりましょう、というような意味合いのレートで、こちらの方が日常生活の実態感と合っているものとなる。これを1970年~2020年でプロットしたものが下の図である。2005年を100としてその比率で表示している。そのソースを下にURLで示す。
この図を見ると、円/ドルレートとはかなり様相が異なる。円/ドルレートの図は下に行くほど円高だったが、こちらは下に行くほど円安のデータである。つまり円の本当の価値は1995年頃にピークを迎え、その後徐々に低下して現在の水準はほぼ1977年頃と同じということを示している。1995年に約135ほどであった数字が2020年では80を切るところまで低下している。つまり1995年比で60%を切るところまで円の価値は低下してしまった。
これは海外旅行に行くと肌感覚としてよく分かる。2000年頃に欧州に行くと、物価は日本の80%位の感覚であったが、最近中国に行っても日本と物価は大きくは違わない(80~90%位)という感覚となっている。
これは日本のデフレの進行と、新興国(中国、東南アジア)での経済成長が続いているためと考える。単純に考えて、中国の経済成長率7-8%がここ15年は続いていて、その間日本の経済成長はほぼ0とすると、1.07の15乗ということになり、2.8倍となる。複利の効果はやはり大きい。彼我の差はここまで縮まっている、あるいは既に逆転されていると考えたほうが良い。
そして、日本の現状(高齢化、人口減少)を考慮すると、今後もこのトレンドは継続すると思われ、日本が先進国でなくなるのも時間の問題とも言える。この状況を打破するためには、政治あるいは行政の思い切った対策が必要と思われるが、これも期待薄ではある。
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