Peter H. Diamandis博士らの著書「2030年:全てが加速する世界に備えよ」が2020.12.22に日本国内で出版されたため、早速購入して読んでみた。下はAmazonのリンク。
本書が主張しているのは、「技術は指数関数的(エクスポネンシャル)に成長する」、「各技術分野の融合(コンバージェンス)が進歩を更に後押しする」ということで、実際の現在(2019年末位?)の各産業分野の具体的な進展状況を詳細に記載している。ほぼ全てに参照文献が付いているところも信憑性が高い。かなり分厚い本なので全ては紹介しきれないが、これまで知らなかった話で興味深い話としては、1)建築への3Dプリント技術の適用によりコスト、工期を大幅短縮可能、2)材料科学に関してオバマ大統領がマテリアル ゲノム イニシアチブを呼びかけていたこと、が挙げられる。
1)について、3Dプリンターで構造物まで製造できるようになっているとは知らなかったが、既にドバイ政府は2025年までに建築物の25%を3Dプリント技術を使用して製造する計画を建てているようだ。

2)についても、恥ずかしながら材料科学を生業としながらこのニュースは全く認識できていなかった。最近マテリアル インフォマティクスが盛んとなっているのも、これに由来しているのだろう。MITのマテリアル インフォマティクスの取組みは、PymatgenというPythonのライブラリとなっており、materials genomicsから来ていることは明らかだ。
また、アンチエイジングや脳のコンピュータへの直接接続など人体に関する最新の技術動向についてもかなりの頁を割いて説明している。老化の抑制には若い人体の血液中にその鍵があり、血液を詳細に解析することで新たな若返り薬ができる可能性もある。血液の作用としては、以前テック太郎でも若いマウスと老いたマウスの血流交換をすることで老いたマウスは若返り、若いマウスは逆に老いてしまう話を紹介した。
内容は非常に多岐にわたり、これだけの話を具体的に語れる知識量には敬服する。技術がエクスポネンシャルに成長し、技術間のコンバージェンスにより社会構造の変化が助長されていくとの総論についてもその通りと思うし、大きく変わっていく世界を早く感じたい。ただ残念なのはこれらの具体的な事業化に関する話は米国での話が殆どで、日本はどの分野でも周回遅れのように感じられる。脱工業化時代においては、個が存在感を持ちうる社会となるが、均一化志向の日本とは相性があまりよくないかもしれない。
#2030年 #3D プリント #マテリアルインフォマティクス #アンチエイジング

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