透明で電気を通す物質

透明な物質と言えばガラスだがガラスは絶縁性物質。一方電気を通す物質と言えば金属、特に銅だが金属は一般に金属光沢を持ち透明ではない。物質(固体)の導電性はバンド理論で説明され、金属はエネルギーバンド内にエネルギーのギャップがなく、電子が容易に伝導帯に遷移することができる物質で、半導体や絶縁物は伝導帯と価電子帯にエネルギーのギャップがあり、あるエネルギーを与えないと電子が伝導帯に遷移することができない(これを励起という)。

逆にこのエネルギーギャップ(バンドギャップと呼ばれる)が十分大きい物質では可視光のエネルギーでは電子を励起させることができないために可視光が物質と相互作用し難く、これが透明に見える原因となる。つまりそもそも透明と導電性とは両立することが難しい物性である。

それでも透明で導電性のある物質が必要であるために、酸化物のバンドギャップを制御することで両物性を兼ね備えた物質が開発されてきた。その代表はITO(酸化インジウム・錫)で、これを構成するインジウムが高価であるために酸化亜鉛や酸化錫をベースとする物質も検討されている。

http://www3.plala.or.jp/Apatite/uhq-ito/tco.html

これらの物質群とは異なる物質で透明と導電性を両立させることができる、しかもただの導電性ではなく、超電導と両立との報告が最近東京工業大学よりされた。下はそのリンク。

今回は、層状ニオブ酸リチウムという物質(NbLiO2)を用いている。超電導の特性が得られるのは、層状物質とすることで電子の強相関と呼ばれる特殊な電子状態が得られているためのようだ。強相関電子系は最近の物理の大きな分野となっており、世界中で研究が進められている。材料物理学も昔に比べると随分進歩している印象を持つ。量子論的な影響がより強く現れるところが発展しているようだ。

#透明導電物質 #強相関電子 #バンドギャップ

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