エントロピーで構造が変わる

金属材料は古くは青銅器時代(紀元前3000年頃より)辺りから人類に利用されている。かれこれ約5000年の歴史となる。古くは不純物が多い金属だっただろうが、近代になって不純物を低減して狙いの組成を得ることができるようになった。しかし基本的には鉄系、アルミニウム系、チタン系、銅系のようにある主体となる金属があり、これに添加元素を加えていく形での検討が進んできた。

しかし最近その枠にはまらないような合金系が数多く報告されている。高エントロピー合金やハイエントロピー合金等と称されることが多い。5種類以上の金属元素をほぼ等量で混ぜ合わせると、エントロピーの影響が大きくなり、単一の相(組織)で非常に単純な結晶構造を取る。エントロピーとは、高校の物理の教科書に「乱雑さ」のような形で(昔は)でていた。例えば高温物質と低温物質を接触させると高温から低温に熱が流れるのは、その方がエントロピーが増大するためである。エントロピー増大の法則のような言葉を聞いた方も多いと思う。エントロピーが増大すると複雑になるようなイメージを持たれている方もいるかもしれないが、単純な構造の方がエントロピーが大きい。

高エントロピー合金の例としてCoCrFeMnNiのような合金が挙げられる。元々Fe、Co、Niは周期律表で並んでおり三つ組元素等とも呼ばれ、性質が似ている。CrとMnもFeCoNiと周期律上で隣接する元素である。上に述べたように、これまでは純金属を指向して、これに必要元素を添加する、という考え方できたので、このような等量組成というものはあまり考えられてこなかった。

高エントロピー合金とすることで、機械特性や耐熱性等の特性が優れるとされ、現在世界中で研究が進められている。約5000年の歴史を持つ金属材料における今世紀になっての新しい話題とも言える。

複数の元素が単純な結晶構造を取るためには、原子の大きさができるだけ近い方が好ましいということで、現在は遷移金属元素が多いようだが、今後は応用範囲が広がっていくことが予想される。

下は最近の東京都立大のプレスリリースで高エントロピー合金を用いた超伝導物質が開発されたとのこと。

ニュース :: 【研究発表】新しい高エントロピー合金型超伝導体を開発

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