個人が経済生活を営むときには、会社や自営業で賃金や売上げを得てそのお金な中でやりくりしていく。銀行を介することもあり、最近では電子マネーを使用することもあるが、基本的には現金を使用している。しかし会社組織では株を発行し、社債なども発行したりする。国や地方自治体も国債や市債等を発行している。このような株や債券はそれ自体を売買することができるので、この売買を通じて利益や損害が生じる。
経済活動が複雑化してくるにつれて、現金以外の商取引の要素が増えてくる。2000年代になってから金融工学というような怪しげな文言が流布し、債務の証券化のような形で債券市場がどんどん膨らんでいる。このような債権や株式等を扱う経済活動を金融経済と呼び、通常の商品やサービスを介した経済活動(実体経済)と分けて考えることも多い。
現在歴史的な株高が世界的に継続しているが、実体経済にはあまり好景気感がないので、実体経済と金融経済が分離している、等とも指摘されている。今回実体経済と金融経済の大きさをざっくりと見積もってみた。
まずは実体経済の方から。日本のGDP(国内総生産)は約500兆円とされている。今回全てドルで考えることにして1ドル=100円として約5兆ドルとなる。以前紹介したように、米国や中国は日本の3倍以上のGDPがあり、世界全体でみると約90兆ドル位のようだ。
一方金融経済の方はどうだろうか。下のサイトによると、1ドル=100円としたとき日本の株市場が約5兆ドル、債券市場が約10兆ドル、世界の株市場が約60兆ドル、債券市場が約100兆ドルであることが推定されている。更にここには店頭デリバティブの元本額は約550兆ドルとも推定されている。デリバティブとは、日本語で金融派生商品と呼ばれるもので、将来価格を予想して行うような取引である。先物取引や為替のFXもこれに相当する。

デリバティブを考慮するかしないかで変わってくるが、考慮しないとしても世界の株と債券市場の合計は160兆ドルに及び、実体経済の90兆ドルの2倍弱、デリバティブを考慮すると実体経済の5~6倍というとんでもない数字となる。
更にこの金融経済の成長の仕方を調べてみた。まず下のTwitterによると世界の債券市場の総額は1989年から2013年の間に約8倍に増大し、2013年段階で約90兆ドルに達することが分かる。上の主要国のGDPを見たとき、最も順調に成長している米国で1989年から2013年の成長は約3倍なので、それと比較しても金融経済の成長速度は著しい。
更に下の日本経済新聞記事によると世界の債券市場は2008年に約120兆ドル、2017年には約160兆ドルに達したことが記載されている。他のものと比べると絶対値が大きめになっているが、どちらにせよ推定値だろうし、概ねの額が分かればよいので細かい違いは無視することにする。これら2つの推定から金融経済市場が一貫して成長していること、その成長速度は実体経済を代表するGDPの成長速度よりもかなり大きいことがわかる。
因みに金の市場の大きさは約1兆ドル、仮想通貨(暗号資産)の市場は2021年10月2日現在約2兆ドルとなっている。仮想通貨の額が今年になって急上昇したが、上昇したといっても他の株式や債券の市場とはまだ桁が違うことが分かる。仮想通貨が今後順調に普及するとしたときの市場規模は現在の10倍位になってもおかしくないように思える。
現在、実体経済の物価を上げようと各国で金融緩和して市場にマネーを供給しているが、実体経済と金融経済の市場の大きさがここまで異なると、実体経済に供給しているつもりのマネーが殆ど金融経済に流れてしまっていることが推定される。これまで、無制限にマネーを供給することで国の通貨の価値がいつか棄損されるのではないか、と思ってきたが、ここまで金融経済の市場が大きくなると、寧ろこちらが実体経済を決めるくらいの力をもっているのではないか、とも思えてくる。実はこのまま少なくとも当面は金融経済の膨張が続いてしまうのではないだろうか。永遠に続くかどうかは何とも言えないが、リーマンショック級の混乱があっても結局その後立て直しできているので意外と長く続くのかもしれない。
#金融経済 #仮想通貨 #金融緩和

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