身近な環境から電気を取出す(1)

最近エネルギーハーベスティングという言葉を耳にする。日本語では環境発電と訳されている。今後IoT(Internet of Things):モノのネット接続が一般的になればモノに電源を供給する必要がある。電池では交換や充電の必要が生じるのでそのような手間が発生しない電源供給が必要になる。

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これを実現するための研究開発も盛んになってきている。熱電材料と呼ばれる一連の物質がある。熱電材料とは、熱を電気に変換、あるいは電気を熱に変換する材料のことだ。最近ではPCの冷却にペルチェ素子を使うような事例も増えているが、ペルチェ素子がこの熱電材料に相当する。この場合には電気を熱に変換しているが、熱を電気に変換することができれば環境から電気を取出すことができるようになる。

熱電材料
熱電材料は熱および電気エネルギーを相互に変換する特性を持つ固体材料であり、エネルギー変換効率向上のための技術として注目されています。シグマアルドリッチではさまざまな熱電物質、およびその前駆体材料を取り扱っております。

室温に近いような低温環境で使用できる熱電材料としては、Bi:ビスマスとTe:テルルの化合物が代表例とされる。しかしこれらはいわゆるレアメタルに相当するのであまり大量に使用することは難しい。またTeは人体に毒性があるともされる。このためこれらの元素を使用しない熱電材料が開発されている。Fe:鉄とAl:アルミニウム、あるいはFe、Al、Si:シリコンというありふれた金属で熱電材料を作る試みがNIMS:物質材料研究機構、東大等で行われている。温度差が5℃程度でも発電できるようで、当然生成する電気量は小さいが、IoTの電源であればそう大きな電力は必要ないだろうから現実的な話なのだろう。

ありふれた元素で熱電発電、5℃の温度差でもIoT機器が動く
NEDO、物質・材料研究機構、アイシン精機と茨城大学は2019年8月21日、汎用元素のみで構成する熱電発電モジュールを世界で初めて開発したと発表した。
東大などが安価で高効率な熱電発電用材料を発見、使い捨てセンサーも可能に
東京大学と金沢大学、東北大学、理化学研究所は2020年4月28日、鉄を含む汎用材料である鉄アルミ合金、鉄ガリウム合金が、鉄単体よりも10倍以上大きな磁気熱電効果(異常ネルンスト効果)を得られることを発見したと発表した。使い捨ての薄膜型熱流セ...

IoTでなく、人間の手に取付けて人間の体温で発電するような取組みも行われている。下は米国のコロラド大の報告で、指輪状のデバイスをつけることでスマートウォッチ等への電源供給を行う研究だ。体温で発電するようなことはこれまでにも考えられていたが、熱電材料で発電するためには温度差が必要で、高温側は人体としても低温側も必要となる。デバイスが熱伝導で人間と同じ温度になってしまうとそれ以上は発電できない。つまりデバイスの冷却が必要ということで、下のデバイスは箔状のものが放射状に取付けられていて少々不格好だが、これは恐らくデバイスの冷却のためなのだろう。

New wearable device turns the body into a battery
Researchers at CU Boulder have developed a new, low-cost wearable device that transforms the human body into a biologica...

スマホやスマートウォッチ、スマートリング等便利なものは続々発売されているが、その電源管理が面倒なので、このようなものができると非常に有難い。ガジェット好きとしては早く実用化されて欲しいと思う。

#熱電材料 #エネルギーハーベスティング #環境発電

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