映画「ターミネーター2」の敵役ターミネーターは金属製という設定で、銃で撃たれて変形してもすぐに元通りになってアーノルド・シュワルツェネッガー扮する元祖ターミネーターを襲って来た。SF映画等ではおなじみの自己修復する物質であるが、研究開発が進んでおり、一部は既に実用化までされている。自己修復機能を持つ物質について調べてみた。
元々、機械は壊れたらお終い、生物はある程度以下であれば傷付いても回復する、というイメージがある。つまり自己修復機能は生物の持つ本質的な機能の1つとも言える。自己修復するためには材料とエネルギーが必要になるため、これらをどう補給するかという問題も出てくる。
この問題を素材内にバクテリアを混ぜて解決したものが會澤高圧コンクリート(株)が2020年11月に発売を開始したBasiliskという商品で、コンクリート内にポリ乳酸カプセルを分散させてそのカプセル内にバクテリアを入れておく。コンクリート内部は強アルカリであるが、コンクリートにヒビが入るとその部分のpHが下がって中性に近くなる。同時に水と酸素も供給され、バクテリアがカプセルから出てきて未反応のコンクリート成分を利用して炭酸カルシウムを生成してヒビを埋める、というような仕組みとなっている。材料は準備しておいてエネルギーは生物に供給してもらう、というようなイメージだろうか。元となるアイデアはオランダのデルフト工科大学で、これを実際に製品化まで持っていったのは日本の製造業という役割分担となっている。
材料には、大きく無機系の材料と有機系の材料、あるいはこれらを複合したような材料があり、それぞれの分野で自己修復機能を持つ材料の研究が進んでいる。上記は無機系材料の例であるが、有機系材料でも自己修復材料が実用化されている。東レ(株)がタフトップという名前の自己修復コートフィルムを発売している。これによると、細かい傷がついても、自己修復機能があると記載されているが、技術的な詳細は記述されていない。自己修復型高分子材料に関する論文などを見ると、フィルム内にマイクロカプセルを分散させておいて、傷が入ったときにそのマイクロカプセルが破れて傷部を補修するようなことが記載されている。この考え方は、上記の自己修復型コンクリートと同じものなので、このような手法が現在の主流なのだろうか。
その他の材料、例えば金属などについても研究段階にあるものは色々とあるようだ。最近の論文では太陽電池にも用いられるペロブスカイト型化合物が自己修復機能を持ちうることを報告している。ダブルペロブスカイトと呼ばれるペロブスカイト化合物の類似物質のナノ粒子に電子ビームで傷をつけ、その傷が自動的に修復される様子を観察した。傷が自己修復されるためには、ナノ粒子表面にある有機分子を取り除くことが重要であることを発見したとのことである。

これに関してはまだ研究の初期段階で、実用化までは時間がかかる感じはするが、ペロブスカイト型の物質も条件によっては自己修復機能を有することが証明されたということだろう。このような研究が進んでいき、前回記載したような周囲の環境から電気を作れるようになると、材料は周囲の環境からエネルギーを得て傷がついても自己修復できるようになるのかもしれない。そうすると材料自体が生物に近付く感じもする。このようなことを考えると、ワクワクしてくる。
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