鳥類オスの外観と性的対立

10月以降新しい通勤ルートとなり、その通勤途上に小さい川があり、そこに鴨がいつも泳いでいる。通勤しながら何気なく眺めていたら、メスばかりでオスが殆ど見当たらないことに気がついた。鴨のオスは頭が緑色なのですぐに分かる。何故だろうかと思って調べてみたら、鴨類に特徴的に観察される「エクリプス」という事象であることがわかった。「エクリプス」とは月食や日食を表す言葉で、鴨類が繁殖期を終えて暫くは羽色が地味になり外観がメスに近づく事象を指す。

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そもそも何故鴨のオスが派手な外観をしているかというと、メスにアピールして選ばれやすくするためである。しかし派手な外観というのは目立つということであり、外敵には狙われやすくなる。そこで繁殖期は派手な外観となり、繁殖期が過ぎると外観を地味にしてできるだけ狙われにくくする、という生存戦略ということである。ちょっと姑息というか現金な感じもしないでもない。

それと比べるとキジ類のオスは常に派手な外観をしている。その代表は孔雀であろう。あんなに派手で大きな尾羽根をつけていると外敵から逃げにくくなるであろうと容易に推定できる。しかし昔何かで読んだ本によると、本来生存に不利な大きな尾羽根をつけているにも関わらず現在生存しているということは、逆にそれだけ身体能力、危険察知能力が高いことを意味し、それがメスに受け入れられる、ということであった。そしてそれをメスが受け入れると、その派手な外観(オス)と派手な外観を受け入れる(メス)遺伝子が後の世代に伝わり、ますます派手な外観になっていく。

多くの生物において単純に精子を放出するだけのオスと相対的に大きな卵子を作り、更にそれを育まなければならないメスとでは生殖にかけるコストが異なる。このためオスとメスとでは生存戦略が異なり、「したがるオスと嫌がるメス」というのが基本的なスタンスとなっている。これを性的対立と言い、進化の原動力の一つにもなっているらしい。この辺りは岡山大学の宮竹先生の著書に詳しく記載されている。

強い者も弱い者も生き残る、 それが「進化」 - 集英社新書プラス
動けば危ない。でも、じっとしてると出会えない ─集英社新書『したがるオスと嫌がるメスの生...

これは基本的には人間においても同様で男性は色々な女性にアプローチしがちで、女性はその中から自分の遺伝子が後世まで残ると思える人を選ぶということになる。昔から女性が男性に求めるものとして3高(高身長、高学歴、高収入)のような指摘があるが、オスとメスの振舞い方を考えると人間の女性が男性に対して多くを望むのは当然とも言える。

しかしこのような話とは全く別の話として、人間の精子の数が1970年代の6割まで減っているとの研究結果も出ている。男性が女性にうまく受け入れられても、そもそも子孫が残せないという話となってしまう。これが今後どこまで進むのかは不明で、この原因が何なのかも全く分かっていないが気になる現象ではある。

ヒトの精子の減少加速 70年代から6割減、打つ手見えず - 日本経済新聞
今から5年前、男性の精子の数が激減しているという研究結果が出され、人類滅亡の危機かと騒がれた。そして今回、新たに発表された研究によって、精子の数はさらに減り、しかもそのスピードが速まっていることが明らかになった。5年前の研究は、2017年7...

#エクリプス #性的対立

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