前回、エネルギーハーべスティングと言われる、環境中の小さな温度差を利用して発電する技術について記載した。温度差を電気に変換する熱電素子の性能向上がその背景にある。今回は更に一歩進んで温度差がないところから発電する話となる。
温度差のないところから発電するというのは、一見すると第二種永久機関に該当するように思えるが、必ずしもそうでもないようだ。アーカンソー大によると、層状の化合物であるグラフェンがブラウン運動で振動するその振動エネルギーから電気を取出すことに成功したことを報告している。ブラウン運動は空気の分子がグラフェンに衝突することで起こる運動のことだ。

グラフェンを帯電させて上下に電極板を配置し、このグラフェンが振動したときに上下の電極板に電子の分布が生じてこれを外部に出力するような仕組みとなっている。1方向に電流を流すために、2つのダイオード(1方向にのみ電気を流す電子部品)を配置したところがミソのようだ。実際に電流が流れることを検証したということなので、現在は微小な電流だろうが、最も大きなハードルを超えたことになる。原理的には1平方メートルで10万ワットという大きな電流を取出しうるということなので、このような技術が進めば最早エネルギーはタダで無尽蔵に得られるということになる。
もう1つ同じように、温度差のないところから発電する技術が日本の機関からも報告されている。これは、周囲の赤外光を吸収しやすい物質を片面だけに塗布することで周囲からエネルギーを得て温度差ができて、その温度差でもって熱電素子で発電するような技術である。今回は理論計算の結果のようだが、実験による検証も進みつつあるとのこと。
周囲の熱エネルギーで温度差ができても、熱伝導で温度差がなくなっては意味がないので温度差を保つような断熱材が鍵になりそうだが、このような方法でも発電は可能であるようだ。現在は化石燃料が中心で、原子力発電は地震の多いために不安があり、太陽光発電に適した場所も限られる日本においては、このような次世代型のエネルギー獲得技術が重要に思える。これを支えるのは恐らく材料技術となる筈で、この分野の研究者、研究予算が増えることが好ましいのだろう。
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