昔は受験勉強において「四当五落」と言われたことがあった。睡眠時間が4時間なら合格し、5時間では不合格になる、という意味で、睡眠時間を削ることが合格のためには重要、という意味合いだった。睡眠=怠ける、という意識であったのだろう。その後睡眠の重要性が次第に謳われるようになり、最近では「睡眠負債」という言葉が流行語になるなど、睡眠に対する認識は大きく変わりつつある。今回、睡眠時間に関するあれこれについて調べてみた。
まずは日本人の睡眠時間について。これは以前から世界的にも短いことが指摘されてきた。実際に厚生労働省の「睡眠と健康」というサイトにある図を下に示す。他の国と比較しても睡眠時間が短く、この図で最も長いフランスとは男性で30分、女性で1時間の違いがある。興味深いのは他の国は全て男性の方が睡眠時間が短いのに対して日本のみ女性の方が睡眠時間が短くなっていることで、日本では特に女性に負担が集中していることを意味しているように思われる。

次は睡眠時間と健康、あるいは死亡リスクとの関係について。上の厚生労働省のサイトにも、睡眠時間が短すぎると生活習慣病になりやすいことが示されている。この理由として、睡眠時間が短いと食欲を促進するホルモンが分泌されて肥満になりやすいことが示されている。それでは長ければ良いかというと必ずしもそうとも限らない。
がん対策研究所のサイトに、日本人約10万人を対象とした睡眠時間と死亡率の関係を調査した結果が公開されている。これによると死亡率が最も低くなるのは約7時間のグループで、特に睡眠時間が9時間以上になると男性、女性共に循環器疾患に起因する死亡率が上昇することが示されている。米国においても同様に長時間睡眠、短時間睡眠共に死亡率が高くなることも報告されている。下に日本人男性での結果を示す。

この図を見ると、長時間睡眠する人の方が死亡率が高いことが明確にわかる。但しこのような結果で難しいのは、長時間睡眠が死亡率の高い直接の原因なのか、あるいは何か他の要因があって、それが死亡率を上げてかつ長時間睡眠にも影響しているのか、の判別ができないことである。例えば循環器に疾患のある人は長時間睡眠しやすい、というような事情があるのかもしれない。従って単純に長時間睡眠をとることが高死亡率に直結するか否かについては断言はできないものの、否定もできないためちょっと気持ち悪い結果ではある。
更に、1時間以上昼寝をする人も同様に死亡リスクが30%上昇する、ということを中国の研究者が報告したそうだ。これも因果関係、理由は不明ながらも、昼寝時間は1時間よりも短めとした方が安心はする。

最後に、睡眠時間と幸福感の関係について。これは英国での研究結果で、幸福感を感じる因子としてどの因子の影響が大きいかを検討したところ、収入よりも遥かに睡眠時間との関係が大きかったという結果が得られたとのことだ。確かに睡眠時間を十分確保できない人が幸福感を感じる可能性は小さいように思える。この調査においては睡眠時間が長すぎる人がどうであったかについては不明のようだ。

これらの結果を総合すると、相対的に睡眠時間の短い日本人は幸福感も相対的に低い、ということになる。実際に下のサイトによると日本人の幸福度は54位と、いわゆる先進国の中ではかなり低いところに位置している。ここでの幸福度は、客観的な指標を元にしたものなので、この上にある主観的な幸福度とは異なるが、主観的な幸福度は日本1.5、下の客観的幸福度1位のフィンランドでは2.5だそうで、主観的な幸福度もやはり低そうだ。その原因の1つに睡眠時間もあるのかもしれない。

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