全身麻酔の作用機構

大学では化学を専攻していて、もう30年以上昔になるが、とある講義で「全身麻酔したときに麻酔薬が脳にどのように作用するかの作用機構はまだよくわかっていない」と先生が言っていた。その時から全身麻酔というものがなんとなく気になっていて、最近全身麻酔について少し調べてみた。

全身麻酔というと大手術をするときに使用するイメージで、脳を一時停止させるようなイメージを持っていた。ただ、「全身麻酔をすると稀に意識を取り戻さないことがある」というような噂話的な情報もあり、少し怖い感じもある。実は昔一度大病を患って、全身麻酔で開腹手術を受けたことがあり、麻酔から覚めて暫くは、何となく赤ん坊から人生をやり直しているような印象を持った。

今回改めて調べてみて、冒頭の全身麻酔の作用機構については、現在でもよく分かっていないらしいことが分かった。下の記事は全身麻酔について解説したもので、ここにも全身麻酔のメカニズムは不明であることが銘記されている。

全身麻酔について | 国立長寿医療研究センター

考えてみると、現在特に生成系AI(人工知能)が流行していて、そこに意識があるのかないのか、などの議論が交わされているが、意識がなぜ生じるかがまだ不明なのでAIに意識があるかどうかも判定できず、麻酔でどのように意識がなくなるかが解明できないのも仕方ないことなのかもしれない。

全身麻酔により、意識が失われるのは当然として、それ以外にも呼吸器の機能を弱めてしまうために気道確保が重要であったり、胃の内容物を吐瀉する場合があるため胃を空にしておかないといけないとか、麻酔薬の量が多すぎると麻酔作用が深くなりすぎて呼吸が停止してしまうとか、かなり気を付けながらやらないと生命に影響するような事態になりやすいようだ。深すぎる麻酔により呼吸停止して死亡するとなると、麻酔の本質は生命反応の停止であるようにも思える。そうであるのなら、麻酔から覚めた時に赤ん坊からやり直す感覚というのは案外正しいものであったのかもしれない。当初思っていたよりも、結構精密な制御を必要とするようで、だから麻酔医というような専門医が存在するのだろう。

麻酔の危険性についての調査結果が下のサイトに記載されている。これを見ると、当然ながら元々が健康体であるほど危険は小さく、元々の体調がかなり重篤な状態であれば麻酔の危険性は相対的に大きくなる。これは何の影響であれ、そうなるのだろうという感じがする。それから、事前に予定された麻酔と比較すると緊急麻酔の場合は相対的に危険が大きくなる。これも、元々リスクのある処置なのだから、十分準備した方が危険が少なくなるのは当然と言えるのだろう。

麻酔の危険性及び合併症 | 麻酔科 | 診療科・部門 | 水戸医療センター
茨城県水戸市にある独立行政法人 国立病院機構 水戸医療センターの公式サイトです。このページでは「麻酔科 麻酔の危険性及び合併症」を掲載しています。

全身麻酔を要するような疾患にかかることは、一昔前には死に直結することであったのだろう。比較的安全に麻酔を受けられるようになったのは技術の進歩の恩恵なのだろうが、願わくばもう全身麻酔を要するような大病にはかかりたくないとは思う。

#全身麻酔

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