仮想通貨と所得税

日本国に住む以上日本の法律に従わなければならないのは当然ではあるものの、なかなか釈然としないような法律も多い。その中の1つに仮想通貨に対する税制がある。個人が仮想通貨(暗号資産)取引で利益を出すと、それは所得税上雑所得とされる、とこれまで国税庁が解釈してきた。株取引や金取引では源泉分離課税が適用されて税率は20%であるのに対して、雑所得となると最大55%の所得税がかかる。これは取引の性質から考えて不公平に思われる。

ところが昨年12月に国税庁から公開されたFAQ(よくある質問とその回答)の中にこれが変更される旨が記載されていた。今回は仮想通貨に対する所得税について調べた結果を記載する。

下の記事に国税庁FAQについての解説が記載されている。FAQにおける主な変更点は3点あり、その中の1つに仮想通貨の所得区分についての記載がある。そこに仮想通貨取引における収入が300万以下であれば従来通り雑所得区分となるが、300万以上で帳簿をつけている場合には原則事業所得になる、と記載されている。

【国税庁FAQ】個人でも事業所得にできる?仮想通貨税制の変更点を解説 - Aerial Partners
2022年12月22日に国税庁から「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」という仮想通貨税制に関するFAQ

そもそも所得税には所得区分というものがあり、給与所得、不動産所得、事業所得、利子所得、雑所得など10種類もの区分がある。サラリーマンをやっているとなかなか税金関係には疎くなりがちだが、所得区分によって有利不利がある。例えば事業所得と不動産所得とでは損益通算が可能で、どちらかで利益を出しどちらかで損を出した時には足し算をして利益に対して課税される。ところが雑所得になるとほかの所得との損益通算ができない。このため仮想通貨と不動産投資の両方をやっていてどちらかで利益を出すともう片方で損を出していても利益額で課税されてしまう。

この他にも例えば不動産投資をサラリーマンが副業としてやっているような場合、不動産投資の規模によって事業的規模と業務的規模とに分けられる。ワンルームであれば10部屋以上を運用しているとこれは事業的規模ということで、個人事業主として認められて青色申告が可能となる。青色申告が可能となると最大65万円の特別控除枠が使用できたりして税務上かなり有利となる。

不動産所得のこの事業的規模と業務的規模の分け方で考えると、ワンルームは安くとも月5万円程度で貸すことになるだろうから10部屋で50万、年額で600万となる。不動産では600万以上が事業的規模と業務的規模の判断基準ということになる。要は、個人事業主というからには、片手間ではなくその収入で生活できるレベルにあるかどうかを判断するようなイメージである。これに比べると仮想通貨において事業所得と雑所得の判断基準が収入300万というのはちょっと低いようにも思われる。

実際に上のAerial Partnersの記事においても、「副業として投資している場合には事業所得として認められる可能性は低い」旨が記載されている。事業所得というからには営利性、反復性、事業性が問われる、との指摘である。これは上の不動産投資の判断基準も考慮されているものと思われる。

そこで、国税庁に直接聞いてみることにした。国税庁は税についての相談窓口を持っていて、電話で色々な質問に答えてくれる。下がそのサイトとなる。チャットボットなども準備されているが現段階の精度はあまり高くなかった。

税についての相談窓口|国税庁

ここで質問してみた。「サラリーマンが副業として仮想通貨(暗号資産)取引をして収入が300万以上あり、帳簿をつけているときには、雑所得と事業所得とどちらなのですか?」 という問いに対する回答は、「原則は雑所得であるが、収入300万と帳簿をつけるという条件を満たすと事業所得となる。副業かどうかは問わない。」であった。つまり副業でも原則事業所得として認めるということであった。ということは、個人事業主として青色申告できる可能性も大きく、漸く一歩前進したという気がした。実際には事業所得であっても最高税率が55%ということに違いはないので、株取引との差異はまだ大きいがそれでもようやく少し変化した、というところだろうか。

#仮想通貨 #事業所得

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