地球が作った芸術作品

先日、兵庫県豊岡市に旅行に行った。その際、玄武洞というところを訪れた。玄武洞一体の地形は玄武岩が柱状に積み重なったような構造で、そこから採石しているうちに柱状の玄武岩層をはっきり見ることができるような洞になったもので、マグマの凝固の痕跡を見ることができる。玄武岩でできているから玄武洞かと思ったら逆で、玄武洞が先にあって玄武洞を構成している鉱物なので玄武岩という名前が付いたそうだ。ここ自体珍しい景観が楽しめる場所である。しかし今回地球が作った芸術作品というのは、玄武洞のことではない。玄武洞の傍らに玄武洞ミュージアムという博物館があり、ここに多くの鉱物、化石資料が納めれらている。その中に、いわゆる「鑑賞石」のコーナーもあり、ここを見てすっかりその虜になってしまった。

大学で無機化学、会社で金属を扱っているため無機材料には縁が深く、岩石、鉱物もその一部であるために昔から鉱物の結晶には興味があった。鑑賞石というのは、自然にできた鉱物、岩石の一部を研磨して研磨面にできた紋様を楽しむようなものである。それ以外にも、鉱物の形自体を楽しむようなものもある。火山活動で鉱物ができ、これがゆっくりと凝固すると大きな結晶ができる。自然の活動なので恐らく年単位で凝固するようなすごくゆっくり冷却するような場面もあり、そのような場合には目視で観察できるような大きな結晶となる。ダイヤやルビー、サファイアなどの宝石もその一部と言えるが、個人的には宝石のキラキラよりも目視で観察できる結晶構造の方に興味がある。これまで研究室で顕微鏡の中でしか見えなかったものが目視で見えるような感覚で、非常に面白い。観察するのも面白いが、所有してみたくなった。調べてみると、鑑賞石を売っているようなところはあり、下のサイトはその一つ。

鑑賞石のお店 悠/HARUKA
鑑賞石のお店 悠/HARUKA

このようなところで購入するのも良いが、今回は個人間で取引してみることにした。ヤフオク、メルカリでも「鑑賞石」で検索するとそれなりにヒットする。鉱物なので劣化するものでもなく、中古品でも特に問題なさそうだ。今回購入して無事に手元に届いたのは下のもの。幅15cm程度のものだ。

岩石の中に茶色い線状の模様と緑色の樹状の模様があり、樹を描いた絵画にしか見えない。これはしのぶ石と呼ばれているもので、石灰岩などの割れ目に鉄やマンガン等の酸化物が入り込み、凝固する過程でこのような樹状の模様が形成される。しのぶ石は英語ではデンドライトと呼ばれている。金属分野でデンドライトというと、金属が凝固するときの凝固模様を意味する。起こっている事象は同じだろうから同じ名前になるのも当然ではある。これらのデンドライトは、凝固時に過冷却(本来凝固すべきだが速度論的に液体のまま残った状態)が起こり、過冷却液体から固体が生成するときに先に固まった凸部が成長しやすいために起こるもので、よくよく見るとフラクタルになっている物が多い。フラクタルはその一部が全体と同じ形になっているものだが説明が難しい。興味のある方はWikipediaをご覧下さい。

フラクタル - Wikipedia

上の石はデンドライト状のものであるが、これ以外にも代表的な鑑賞石として菊花石と呼ばれるものがある。これは菊の花状の模様が入ったもので、鑑賞石の最高峰とも呼ばれることがあるようだ。個人的に最も美しいと思っているのは菱マンガン鉱。インカローズとも呼ばれ、美しいピンク色の鉱物だ。調べてみるとミネラルマルシェというような鉱物を売買するマーケットも開かれているようなので、このようなものにも参加して、今後少しずつコレクションを増やしていこうかと思っている。

#鑑賞石 #しのぶ石 #デンドライト #菊花石 #インカローズ

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